パタゴニアに生きるパイオニア 4
ドイツでは自動車会社の有能な設計技師として、すくなからず世間にも認められていたといいます。
しかし、彼はそのすべてを捨て去った。
フロンティア精神に燃えた若き日の夢を果たしたかったのです。
「さまざまな色の花に埋まった丘のうえの家。
ひろい庭に池があり、白鳥や魚が泳いでいます。
乳牛がのんびりと草をはみ、果樹園に囲まれたユートピア。
あなた方はこんな生活がお好きじゃないかな」「するとここがそうだったというわけですか?」ばくの質問に彼は大きくうなずいた。
「ワシはこの地で汗みどろになって働いた。8年間も。8年後、われわれはそのすべてをやってのけた。夢を全部果たしたのだ、しかし・・・」と彼は言葉を切った。
われわれも思わずゴクリとつばをのみこんだ、「突然、予期せぬ不幸がやってきました。妻がほかの男と駈け落ちしたのだー」自分たちの夢を満たされた妻は、それ以上この男になにを望みえたでしょうか。